私の地元で一番利用者数が多いA駅は二路線が使える。東西を走るJRと南北を走る私鉄がちょうど交わるところなので乗り換える人が多いのだ。
そのJRの路線に新駅(B駅と呼ぶ)ができたのがだいたい10年前。大型ショッピングモール開業に伴う地区の再開発で駅を作ることになったのだ。
B駅はA駅の次にある。
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近場の再開発につられてか、A駅周辺も少しずつきれいになっていった。駅舎自体がきれいになり、何より駅の周りの商業施設が生まれ変わったと呼んでいいほどに大きく変化した。
B駅が出来る以前、A駅周辺は市内でも有数の治安の悪い場所だった。なにやら怪しげなものを売ってる売人がいるとか、オトナ向けビデオに出る女優のスカウトがいるとか。そういう、子供にとって危険な人たちが集まるゲームセンターが一掃されて健全なお店に取って代わられた。
ずいぶんと様変わりしたA駅周辺を見て思う。ああいうゲーセンに似つかわしい現代の子供たちは一体どこに集まるのかと。
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東京でも不良が集まる街の池袋、新宿、渋谷も時代に合わせて再開発されてかなりきれいになった。繁華街の側面は残しつつ、危険なにおいは脱臭して。
少し毛色が異なるが、秋葉原もかなりきれいな街になったよなぁ。依然としてオタクの街ではあるけど、前はもっとずっと近寄りがたい街だった。なんだか専門性が高すぎて、隣町の上野では街に溶け込んでた人が秋葉原では逆に浮く感じだった。親しみやすさと専門性って同居しづらいのかもしれない。
それで余計に思ったのだけど、現代の「不良」と呼ばれる少年少女たちはどこに集まるんだろう。
家や学校に居場所が無く、似た境遇の子たちと群れて、汚い場所でしかほっと息をつけない子供たちは今はどこにいるのかな。
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もしかしたら、人も街みたいに専門性が薄れて「それ以外の人」との見分けがつきにくくなっているのかもしれない。
不良、オタク、それ以外の人。昔は--少なくとも15年以上前は--この三つは簡単に見分けがついた。内面が醸し出す雰囲気の前段階、ファッションや持ち物でその人の属性が推測するのが容易かった。
現在は、この三つを見た目だけで判別するのは昔ほど簡単ではないように思う。
だからなのかな、アニメIWGPの作画やキャラデザがああなのは。あの頃のような不良少年は今の人たちのリアルじゃないから。
でも、90年代に生まれて、薄汚れているのに妙にちかちかしていた東京の街々が記憶の端にあるからこそ思う。
キャラデザはGTOとかクローズみたいな「絵に描いたような不良(文字通り『絵に描いてある』のだけど)」の方が良かったなぁって。例えそれが現代のリアルじゃなくても。
見たかったなぁ、ガッツリ不良ファッションのタカシ……。ドラマ版を観るしかない……。
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ちなみに今のA駅周辺、ゲーセンは無くなったのに不良遊興施設代表のパチンコは依然として堂々と鎮座してる。それどころか新しく作られた。これ以上増やしてどうすんの?
プロの女性と遊べる大人のお店も少なくなった代わりに、数年前から夜にはアジア系外国人の立ちん坊が駅近くで屯するようにもなった。言葉や相貌から察するに中国の南方系の人たちかな。一応、日本では路上で春を売るのはいけないことになってるんだけど……。ああいうのって通報していいの?それともあれも法律で認められてる自由恋愛の一形態?
建物だけきれいにしても集う人々の性質はなかなか変えられないものなんだろうね。見た目だけで判断すると治安が良くなったようでも実情はなかなか……。たちんぼがいるってことは彼女たちを見張ってるこわーいお兄さんたちも近くにいるわけで。ひょっとすると治安はもっと悪くなってるのかもしれない。
まあ昼間は安全だけどね。
写真は不良の街代表だった渋谷
去年の11月、PARCO開業日に